こんにちは、豆腐ラボです。
豆腐を作るのには「にがり」が必要だと言われています。
豆腐の定義でも「にがり<とうふ用凝固剤>」で固めたものしか「とうふ」と名乗ってはダメ!と言われているので、かなり重要な原料です。
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でも、「にがり」って一体なんなの?って人、多いと思います。
今回は「<にがり>ってなに?」ってことを解説していきます。
<にがり>とは?
そもそも、にがりってなんだよ?って思うと思います。にがりは「塩化マグネシウム」や「硫酸カルシウム」を主原料にする液体、粉です。
作り方は「海水から」と「化学的に」の2種類
海水を蒸発させて作る『伝統的製法』と、化学的に『人工的に合成する方法』で作られるにがりの2種類が売られています。
どちらも、豆乳を固め、豆腐を作ることができます。
ただ、海水には色々なミネラル分が含まれています。だから、海水から作る「伝統的な製法」の方が、複雑な成分比で各種ミネラルを含んでいます。
「人工的に合成する方法」で作られた<にがり>は「塩化マグネシウム」や「硫酸カルシウム」の純度が高いっていう特徴があります。
タンパク質の形を変える
にがりに含まれている「塩化マグネシウム」、「硫酸カルシウム」は豆乳の「タンパク質(大豆タンパク質)」と出会うと、タンパク質の形を変える役割をします。
特に塩化マグネシウム中の「Mg 2+(マグネシウムイオン)」、硫化カルシウム中の「Ca2+(カルシウムイオン)」が大豆タンパク質の形を変える大きな要因になります。
豆乳の中で化学反応が起こっている。ここに「熱」という<エネルギー>が加わると、反応がさらに早く進む。
豆乳の中の「大豆タンパク質」が<にがり>の成分(イオン)で形を変えられ、集まって網目状に固まります。
それが「豆腐」です。
豆腐作りは<にがり>を使った化学反応
「熱」があると固まるのが早くなり、さらに、しっかりと固まります。「熱」が少ないと化学反応が進まないので、固まりが弱くなったり、固まらなくなったり。
また、にがりの成分(イオン)が多すぎると、タンパク質の形が変わりすぎてしまい、タンパク質同士がくっつかなくなってしまいます。
化学反応に必要なのは、原料のバランスと反応を進めるのに必要なエネルギーです。
にがりの種類と豆腐
にがりの種類によってできる豆腐の質感が変わってきます。
<にがり>には塩化マグネシウムの成分を多く含んだ「塩化マグネシウム系(略称:エンマグ)」と「硫酸カルシウム系(略称:リュウカル)」の2種類のタイプが存在します。
それぞれのにがりで、豆腐のでき方、食感、味が変わってくるので豆腐を作る時には特性のあったものを選んでください。
塩化マグネシウム系のにがり
塩化マグネシウム系の<にがり>は「伝統的な製法」で海水から作られたものが多いです。液体で、舐めてみると苦い。
苦味のある<にがり>は塩化マグネシウム系のにがりです。「Mg 2+(マグネシウムイオン)」が苦味の原因で、舐めると「とてつもない苦味」を感じます。
できる豆腐の質感・味
塩化マグネシウム系の<にがり>を使って作った豆腐は、「甘みのある柔らかい豆腐」ができやすいです。
もちろん、温度・打ち方(にがりの混ぜ方)・熟成時間・にがりの量などの条件によって、できる豆腐は変わってきますが、大豆の「甘み」を感じて「柔らかくクリーミー」な質感・味のものができる特徴があります。
一般的な「木綿豆腐」みたいな味の濃い豆腐は「塩化マグネシウム系」のにがりを使って作られていることが多いです。
硫酸カルシウム系のにがり
一方、硫酸カルシウム系の<にがり>を使って作った豆腐は、「さっぱりとした味の固い質感の豆腐」ができやすいです。
硫酸カルシウム系の<にがり>は粉状だったり、フレーク状になっていることが多いです。水に溶かして使うタイプの<にがり>です。
水に溶かした硫酸カルシウム系のにがりを舐めても「苦くない」のが特徴。粉っぽい味がしますが、全然苦くないです。
できる豆腐の質感・味
硫酸カルシウム系の<にがり>を使って作った豆腐は、「さっぱりとした味の固い質感の豆腐」ができやすいです。
ちょっと、水っぽい食感の豆腐。「きぬ豆腐」などの冷奴で食べるようなアッサリした味の豆腐は硫酸カルシウム系のにがりで作られていることが多い。
質感も固く、角が欠けやすい質感です。
硫酸カルシウム系の<にがり>を使って作られた豆腐は「水」に浸しておくと「味が抜けやすい」のも特徴です。豆腐の中から糖分などが水に溶け出しやすく、さっぱり、アッサリとした味になります。
豆腐のタンパク質を食べている感じの味で、旨味が少ない豆腐です。糖質を少なくすることが簡単なので、ダイエットには硫酸カルシウム系の豆腐の方が向いています。
ダイエットとにがり
最近では、「ダイエット・健康食品」として<にがり>をご飯にかけたりする人が多いです。
<にがり>にはミネラル分が含まれているので、健康にいい。体内のミネラルバランスを整えて、ダイエットのサポートとなるって認識です。
にがりダイエットで使うのは塩化マグネシウム系
健康食品として使ったり、ダイエットとして使う<にがり>はスーパーで売られている「液体」のにがりを使うことが多いです。
食品用として薄めてあるにがりが売っていたりするほど、人気っぷりが伺えます。
塩化マグネシウム系のにがりは、味が「苦い」っていう特徴があり、その「苦味」がいかにも効きそうだってので、使われるようです。
マグネシウムの取り過ぎに注意
ですが、ここで、注意してもらいたいのが「にがりの取り過ぎ」です。多い方が効果があるだろうってので、たくさんかけてしまう人が多いですが、かけ過ぎには十分注意してください。
塩化マグネシウム系のにがりは、海水を濃縮して作られたものがほとんどです。
つまり、海水をご飯にかけて食べているようなもの。
海水を飲むと喉が乾くのと一緒で、かけ過ぎは身体に悪い影響を与えます。
体内のマグネシウムが多くなると、下痢になる場合があるので、注意してください。あと、腎臓の機能が低下している人が取ると、高マグネシウム血症が生じやすくなり、血圧低下、吐き気、心電図異常などの症状が現れます。
身体にいいからと言っても、取り過ぎは禁物です。
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じゃあ、またね