こんにちは、豆腐ラボです。
「薄揚げ」も実は豆腐から作られています。厚揚げはまだ豆腐の面影が残っていますが、薄揚げには豆腐の「ト」の字も無いような形になっています。
薄揚げひとつ取っても、奥深いです。今日は、薄揚げの種類、地方で愛される薄揚げ、薄揚げの作り方など詳しく解説していきます。
薄揚げの種類
「薄揚げ」には「いなり揚げ」「京揚げ」「油揚げ」などの名称で呼ばれるものもあります。大きさで呼び名が変わったり、用途で変わったりします。豆腐屋さんもそれぞれで使いやすいように考えて作っていたりします。
地方で愛される薄揚げ
地域によっては、宮城県の三角油揚げ、山形県の皮揚げ、福井県の竹田揚げ、奈良県の大和揚げ、愛媛県の松山揚げ、熊本県の南関揚げなど、ご当地特有の薄揚げがあったりします。
福井県の竹田揚げは「こんなにでっかい揚げ作ってどうすんだよ」ってサイズの揚げで、県内のスーパーでも人気の商品です。
薄揚げの作り方
薄揚げは、豆腐と少し作り方が違います。豆腐を作るときは「豆乳」と「にがり」を混ぜて作ります。この「豆乳」の量に対して「にがり」の量がちょうど良いときに「豆腐」ができます。
「豆乳」の量に対して「にがり」の量が少なすぎると固まらず、豆乳のまま。「にがり」の量が多すぎると、固まりすぎて水が抜けてしまい、モロモロのカッテージチーズのようなものになってしまします。
カッテージチーズのようになったら、専門用語で「散った」と言われ、豆腐としては失敗作なのですが、実は薄揚げはこのカッテージチーズのようになったものを使って作ります。
熱い豆乳にあらかじめ、ふくらし粉(ベーキングパウダー)を混ぜ、豆腐を作るときより多めの「にがり」を混ぜ込みます。散る(モロモロになる)までにがりを混ぜて少し熱が冷めるのを待ちます。
粗熱が取れたら、木綿の布を敷いた型枠にモロモロの豆腐を入れ、蓋をして水を抜きます。この時、しっかりと水を抜かないと固い生地ができないで、しっかりと水抜きをしてください。
こうしてできた生地を低温(120度前後)の油で揚げ、しっかりと生地を伸ばします。その後高温(180度前後)の油で二度揚げして表面をパリッと仕上げます。パリッと仕上げると冷めた時に揚げが縮みにくくなります。
作る時のポイントは生地作りです。生地の出来かた次第で薄揚げの良し悪しが決まってきます。にがりを入れて散らせた後に、冷ましすぎてしまうと水きれが悪くなるので、少し熱いぐらいで型枠に入れることがポイントです。
家庭で作るには少し難しいかもしれませんが、ぜひチャレンジしてみてください。
豆腐屋さんによっては揚げた後に空気を入れてさらにふっくらと膨らませているところもあります。触ったときの薄揚げの質感がフカフカしているものがそうです。作りかたもそれぞれお豆腐屋さんで様々なので、違うお豆腐屋さんの薄揚げを何種類か購入して、自分の好みの薄揚げを見つけてください。
質感が違うと合う調理方法も違うので、調理法についても続いて解説していきます。
薄揚げの食べ方
揚げたてが一等の食べ方
食べ方としては揚げたてを食べるのが一番です。揚げたてで、まだ油が滴り光沢のある薄揚げに醤油をちょろっとかけて、ほおばる。これが一等の食べ方です。「これ以上に美味しい食べ方なんてない」と自信を持って言えます。お豆腐屋さんをやっている人だけが知る贅沢な食べ方です。
炙ると美味しい
家庭で作れれば一番なんですが、そんな面倒くさい事できないよというかたは、スーパーの薄揚げに一手間かけるだけで美味しくなります。それは、トースターで焼く事です。焼きめがつくぐらい焼くとパリッとした仕上がりになり、ネギと醤油との相性バツグンの薄揚げとなります。
フカフカの揚げはうどんにのせて召し上がれ
フカフカしている薄揚げはよくお出汁を吸うので、うどんの上にのせたり、煮物に入れると美味しいです。
大阪には「刻みうどん」といううどんがありますが、これはこのフカフカした薄揚げを短冊状に刻んでのせてあるうどんです。七味をパッパとかけ、食べると絶品です。
最初はパリパリした揚げの食感が楽しめますが、段々とうどんの甘辛いお出汁が揚げに染みていきジューシーな食感に変わっていきます。お出汁が染みると同時に揚げから油がじんわりと滲み出るので、お出汁の味もコクが出てくる。揚げのおかげで味の変化が楽しめる一品です。
いなり寿司を作るなら「いなり揚げ」
いなり寿司を作る時は「いなり揚げ」を使ってください。大きいサイズの薄揚げと小さいサイズの薄揚げが売っていると思いますが、この小さいサイズの薄揚げが「いなり揚げ」です。いなり寿司専用に作られた揚げです。
別名「きつね揚げ」とも言われたりします。「美味しいけどちょっとだけでいいや」という方や、一人暮らしの方にはちょうど良いサイズの揚げかもしれません。
いなり揚げの使い方は、まな板の上に「いなり揚げ」をのせ、揚げの上で丸い棒(麺棒、すりこぎ)をコロコロと軽く転がします。その後に揚げの一方に包丁で切り込みを入れ袋状にして出来上がり。醤油に砂糖を入れただし汁でしっかりと煮詰めて、中にご飯を入れるだけ。簡単いなり寿司の完成です。
棒でコロコロすることによって、皮と皮とをくっつきが離れるので袋を作りやすくなります。慣れてくると包丁で切った方が早いですが、慣れないうちは失敗して袋を破りやすいので、コロコロをお試しください。
関東では煮詰める前にお湯をかけ油ぬきをする方が多いようですが、そこはお好み。関西ではそのまま煮て「油が染み込んだいなり寿司」として食べます。ここにも地域性が出てくるので、楽しいですね。
きつねうどん、巾着にも大活躍
煮詰めた「いなり揚げ」にご飯を入れずに、そのまま「うどん」にのせても美味しいですよ。簡単即席「きつねうどん」の完成です。
中に餅を入れて巾着にしたりしても美味しい薄揚げ。あなた好みのアレンジで料理を楽しんでください。
じゃあ、またね